推手道場での練習風景。
私が特訓しているR氏は、他の先生や先輩達にも指導を受けていますが、そのあとで手合わせすると、R氏が、なんか、バラバラになってしまっているのです。
腕を左右にブンブン振りながら寄ってきて、私に触れた瞬間、いきなりすっ飛んでいきます。なんじゃこりゃー。
せっかく先週、いいかんじで組みあがってきたと思ったのになあ。
なぜこんなことになるのかわかっております。先輩がR氏に、四正推手なんかいつまでもやってないで、もっと自由にやりなさい、なんて教えるからです。
自由な推手は、キッチリした推手ができてからの応用変化であるべきですが、基本をすっ飛ばして、バラバラなことをやっていては、上達どころか下達します。
超ベテランのN先生は自由自在に動いて、私を5メートルでもぶっ飛ばしますが、それは基本の功夫の蓄積があるからです。
基本をあまり重要視せず、自己流のトレーニングばっかりしている先輩に、私を飛ばすことは無理でしょう。
隣で誰かに教えている先輩を否定するような指導を大声ではできませんもので、R氏には、小さな声で基本の大切さを懇々と説いたつもりなのですが、はて、わかってくれたかどうか。
基本のないまま一生懸命の20余年、頭打ちで全部白紙に戻してやり直し、という経験が私にはあります。同じ轍を踏まないよう、親切心で伝えたいんですけどねえ。
本音で言えば、他所でやってる指導とか習ってること、一旦全部やめて、ゼロからやり直した方が早いよ、と思っているのですが、これはあまりに酷なので言いませんけど、まあ、正味、そうです。
私も随分言われつつも、なかなか踏ん切りがつかず、ズルズルやってきましたもんね。私の場合は当時、指導まではしていませんでしたのでまだ気楽。R氏が同じことをするのは、さらに難しいでしょう。
それに比べると、前回も書いた素直なオバサマSさんは、気楽なもんです。
これまでの学びを、簡単に捨てられます。
身に沁み込んでいる癖はなかなか抜けませんが、意識上はポイッと捨ててますね。
Sさんは、四正推手で、グイッグイッと押し込んでくるような癖がありました。よその教室で、そのようにすると習ったそうなのです。
おそらく掤勁を保つという意図で指導されたのでしょうが、Sさんはもう掤勁はあるし、そんな乱暴にしたらアカン、もっと優しく柔らかく、クラゲの指で接する練習をだいぶんやってみました。
自分のお腹周りを丸く指先でなぞる、陳式で良くやる練習もやってみました。ぎこちないですが、疑問を持たず組む姿勢が良いです。「でも」とか「だって」とか言わないのがナイス。
いつでもどこでも、クラゲの手で撫でまわす練習をしとくと良いですよ、と伝えました。
これでまたちょっと上達されることでしょう。
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