介護タクシーは、お待たせします。

介護タクシードライバーの運転術

タクシーにあって、介護タクシーにないものなーんだ?
…それは、流し運転です。

介護タクシーは、道を流して手を上げているお客様を拾うということがありません。営業所にて引き受けたお客様に限る、と決められているのですね。

ですので、介護タクシーが走っているときというのは、お客様を乗せているときか、お迎えに向かっているときか、もしくは業務終了して帰るときだけです。

介護タクシーがお客様を乗せているときと、お迎えに行くときの走り方は、かなり違います。

お客様といえば車椅子に乗ったお年寄りが多いですから、実車のときはなるべくゆっくり走ります。極力振動のないよう、遠心力のかからぬよう、ルートも路面のいい道を選んで 丁寧に走ります。

ところが、後ろのクルマに煽られることがあるんですね。車間距離をキチキチに詰めてきたり、黄色信号でスピードを落としたところを、無茶な追い抜き方をします。

こちらは、介護の看板をつけとるっちゅうのに、なんてモラルのない奴! と憤慨します。

しかし、挑発に乗るようなことはありません。お客様を安全に輸送することが使命ですから。

一時のちっぽけな感情より目的を優先させる。それがプロってもんです。

お客様を目的地で下ろすと次のお客様に向かいます。

もう病院の診察が済んで、お客には、しびれを切らして待っていただいているようです。

ダーッシュ!

空車時の運転はかなり臨機応変です。2つ向こうの信号が赤になったからここで左折すると次の信号で引っかからない、とか、その先の交差点はこの時間は渋滞するから遠回りでもこちらが早いとか、経験によるデータをフル稼働させて、最も早いルートを脳内で検索します。

だいたい毎日同じようなところを走ってますので、信号のタイミングも覚えてしまいます。

スピードも3割増しくらいです。

そういう走りをしていると、とろとろ走っている車に追いついてしまうことがあります。

なにをチンタラ走ってるんじゃ~と思ったりします。先ほどと立場が逆ですね。

しかし、ここであわてて事故を起こしたりトラブルになってはタイヘン。目的はお客様を安全・確実に輸送することであり、お待たせしないというのは二の次なのです。

 

お待たせする!というのは介護タクシーならではかもしれません。

病院からの帰り時間は予測しづらいし、前のお客様に予想以上に時間を使うこともあるのです。

なにせ、お客様は介護が必要なお年寄りですから。

多少待たせて怒らせても、愛想よく応対すれば機嫌も直るってもんです。

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