商売の心得 頭は低く値は高く

中古車屋さんの裏話

中古車業販の仕事をしていて、心に残っている言葉があります。

当時の所長がよく言っていた、「頭は低く、値は高く。」

どうも、元ネタは、極真空手の大山倍達総裁の言葉、「頭は低く目は高く、口慎んで心広く、孝を原点とし他を益する。」から来ているようなんですが、こちらは最近まで知らなかったので、ずっと、「値は高く」だと思っておりました。

でも、商売の心得をとっても表しているように思います。

ディーラーの業販センターのお客って、小さい中古車屋とか、わけわからんブローカーとか、怪しい外人とか多かったんです。

立場的には、売ってやる、という感覚になりがちです。

同業者には、そんなとこもありました。ディーラーによっては、業販店は、ガラーンと人気がなく廃車置場みたいな店で、社内的には日陰者なのに、客にはエラそばっているような。

しかし、これではイカンのですね。

商売の基本は感謝です。あいそよく。頭は低くです。

お客といっても、お互い業者同士なので、フランクな対応ではありましたが、偉そばることはなく、私のいた店は、いつも千客万来でした。

客が客を連れてきてくれてました。

商品数を揃える努力もありましたが、この所長を始めとするスタッフの人間的な部分が大きかったと思います。

 

「値は高く」は、一つひとつの商品を大切に売るという意味です。

中古車業販の場合、大雑把な商売になりがちなんですけど、どうしても、大きく損をするクルマも出てきますので、儲かるクルマは儲けないといけません。

業者間の値段交渉は、キツイものがありますが、通常、万単位の値段交渉を、私は千円単位でやってました。

ホントは20万円の利益があったとしても、「あと3万ひいて!」「うーん、5千円で勘弁して!」なんて、いっていると、キツイんだなーと思い込んでくれるんです。

ダマシているわけではなくて、丁寧に売っておるのであります。

(じゃ、これ3万円引くから、こっちのクルマは、この値段で何も言わんと買っといて! なんて言えるのは、業販ならではですが。)

 

これはどんな商売でもそうじゃないかなーと思います。ネット通販で直接お客さんと顔を合わせない商売も増えてはおりましょうが、やっぱり人を敬う気持ちと、商品を愛する気持ちが大切でありましょう。

どこかの運送会社のトラックに書いてある「敬客愛品」という標語もそんな意味ではないでしょうかね。(これは西郷隆盛の「敬天愛人」が元ネタではないかと思います。)

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