高齢者社会のバリヤー運転術

介護タクシードライバーの運転術

平日の町なかを走っていると、見かけるのはお年寄りばっかりです。車に乗せてるのもお年寄りなら、車の外もお年寄り。日本人の3分の1が高齢者になるそうですからナットクの現象ですね。

さて、車中のお客様に気を遣うのはアタリマエですが、車の外のお年寄りにも気を遣わねばなりません。

杖をついていたり、押しぐるまを押していたり、シニアカーにのっておられたり、いろいろなお年寄りがおられます。

お年寄りのペースは、若者とは違います。予測できないタイミングで立ち止まったり、方向転換をされたりします。

自転車のおばあさんが、ふらりとクルマの前にでてきたと思ったらそのまま停止。目の前でぽてっと倒れた、ということもありました。

助けには行きましたが、なんだか自分が衝突事故を起こしたように見られて、かないませんでした。しかし、一瞬ブレーキが遅れれば衝突というか、轢いてしまう可能性もあったわけです。

高齢化社会では、まわりと自分は同じペースではないと意識しておかねば危険です。予測運転という言葉もありますが、予測は外れます。

お年寄りは、周りを気にしないで我が物顔で歩んでいるようにみえますが、それは目が悪く、耳が遠く、足が弱いからです。まわりがなんとかしてくれるだろうという意識もあるでしょう。

「どこ見てんじゃ、アホー!」と車中から叫ぶ人をたまに見かけますが、叫ぶほうが間違っております。(叫んでも聞こえてないかも。)

マナー無視の若者を更生させるために、愛をもって強い指導をするというのなら、賛同できなくもないですが、お年寄りに対しては無理です。

怒ってお年寄りが機敏になるわけじゃなし。

よそのお年寄りはコントロール出来ないのです。(身内はなおさらですが。)

コントロールできないことにとらわれるより、自分の運転をコントロールしたほうがよいです。

というわけで、運転術です。

危険予測に頼らない、システム的安全運転術

運転に大事なのは予測、想像力と言われますが、想定外の事は起きます。想定外の動きがあったとしても、余裕がある運転をしましょう。

安全運転の教本には書いてない、イメージ運転術をご紹介します。

具体的なイメージとしては、自分を中心に進行方向に縦長の、見えない楕円形のバリアーがあると思ってください。

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(青い部分がバリヤー。バリアの内側に入ったら、デンジャラスです。)

そして、このバリアーの空間の中には何も入らないようにします。

隣を歩いているお年寄りが、急にポテっと倒れこんできてもセーフな広さの空間です。前を行く自転車がいきなりひっくり返っても、余裕で止められる距離のある空間です。

このバリアーの空間は、スピードが増すと範囲が広くなり、スピードが落ちると小さくなります。

前後のタテ方向にはビヨーンと広く伸び、横方向は、それにつれて、少し広がるようなイメージですね。ハイスピードでは細長ーい楕円形になります。スピードゼロの時は、円です。

お年寄り対策だけじゃなくて、これをいつも意識しておれば、他のクルマやバイクも自分の空間内に入れない運転ができます。

イメージの円にどうしても何かが入ってくるというなれば、スピードの出し過ぎなのです。

後ろから寄せてくるクルマは自分でコントロール出来ないですが、スピードを落として楕円を小さくすれば、相手が追い抜いてくれます。

高速道路での車間距離もこのバリアー意識を持つと自然と適正な距離を保てるようになりますね。接触事故や追突事故もかなり減らせると思いますよ。

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